Blogot - 旅とF1と車と男の嗜み

旅とF1と車と男の嗜みをテーマとした後藤康成のブログ。

南ドイツの旅 (6) - メルセデスベンツ・ミュージアム

メルセデス・ミュージアムへはシュトットガルト中央駅からS1号線で2つ目のNeckarparkという駅で降り10分程度テクテクと歩いた場所にあります。といっても多くの訪問者は大型のツアーバスで来ており、無人駅からテクテクと歩いてくる物好きな旅行者は僕ぐらいなものでした。

Stuttgart 2005 May. Mercedes Benz museum
ミュージアム全景

メルセデス・ベンツミュージアムは近代的な建物でオランダの著名建築家のベン・ファン・ベルケルとカロリン・ボスが手がけた設計を手がけたミュージアムです。そしてここではゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツがそれぞれに自動車を開発し、合併してからのを含めてメルセデスベンツのすべての歴史を見ることができます。

Mercedes Benz Museum 2015 May
600

このメルセデス・ベンツ 600は1963年9月に開催されたフランクフルト・ショーにおいて、デビューしました。1930年に発表され、日本の皇室でも利用されたという怪物グロッサー・メルセデスの再来と言われました。搭載されたエンジンはV型8気筒の6330ccのSOHCユニットで、250PS/4000rpmと51kgm/2800rpmを叩き出すというモンスターマシンです。このグロッサーの系譜が脈々と受け継がれます。

Stuttgart 2005 May Mercedes Benz Museum
300SEL 6.3

そしてこちらが300SEL 6.3。別名「グロッサーの孫娘」と呼ばれています。今回この6.3に会いたくてシュトットガルトを訪れたと言っても過言ではありません。ピッカピカに磨いてあり新車のようでした。僕がこの車を知ったのは五木寛之の短編小説集「雨の日には車をみがいて」に収録されている「怪物グロッサーの孫娘」でです。その物語の主人公はこの6.3を以下のように評しています。

この一件なんの変哲もない4ドア・セダンのベースが、製造番号W108タイプの280S/SEであることは、誰もが気づくだろう。わずかに異なっているのは縦の並んだデュアルランプである。ぼくらはそれを<タテ目>と呼んでいた。ほかにこの不気味なまでの力を持つ乗用車を区別する外見は、トランクグリッドに実に無造作につけられた<6.3>の文字だけだった。
<中略>
この車について語るなら、ぼくが最も感銘を受けた一つのデータをあげるだけで十分だと思う。それは、この車の今では古風なメカニズムをもつV8エンジンが、なんと51kg/Mというとほうもないトルクを秘めていた点である。
<中略>
しかし、本当に<不気味>なのは、その51kgというトルクの数字ではない。僕を心から畏怖させたのは、この単なるOHCエンジンがその巨大なトルクを、わずか2800回転という回転数で発生することだった。

Mercedes Benz Museum 2015 May
レーシングカー(実物です)

そしてメルセデスが手がけている様々なカテゴリーのレーシングカーを実物で一挙に見ることが出来ました。いまやホンダですが、昨年までエンジン供給をしていたマクラーレン・メルセデスが展示されています。

次回はいよいよ最終話のポルシェです。

■エントリーアーカイブ

南ドイツの旅 (1) - フランクフルト空港

南ドイツの旅 (2) - フランクフルト・アム・マイン (Frankfurt am Main)

南ドイツの旅 (3) - ミュンヘンへ Intercity-Express

南ドイツの旅 (4) - BMWミュージアム

南ドイツの旅 (5) - シュトゥットガルト

南ドイツの旅 (6) - メルセデスベンツ・ミュージアム

南ドイツの旅 (7) - ポルシェミュージアム