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旅とF1と車と男の嗜みをテーマとした後藤康成のブログ。

eビジネス振興のための政策に対する質問状の回答:自民・民主の明暗

楽天株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長などが連名で 「eビジネス振興のための政策に対する質問状」を自由民主党及び民主党に提出し、これに対して16日までに両党が公式回答を示したものが紹介されてている。

【質問項目】
1. IT利活用によるeビジネス振興の位置づけと具体策について
2. IT利活用を阻む規制の見直しについて
3. インターネット上の有害情報対策について
4. 通信・放送融合の時代に向けた行政介入の在り方について
5. リテラシー教育推進を前提とした諸制度の制度設計について
6. インターネットを使った選挙活動の解禁について

この6項目の回答文はこのITマニュフェストという側面を持ち、総括すると与野党という立場のコントラストが明確に出ている。

・抽象的な回答の「自民党」と具体化した回答の「民主党」
・定性的な施策の「自民党」と定量的な施策の「民主党」
「i−Japan戦略2015」をベースにした「自民党」のIT政策とゼロベースから起草している「民主党」

自民党は、与党として関係省庁を取りまとめているからこその抽象的かつ定性的な表現が中心である。IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会 による「i-Japan戦略2015」をベースとして「電子政府・電子自治体分野」、「医療・健康分野 」、「教育・人財分野 」という3分野を重点としている。一方しがらみの無い野党としての民主党はフォーカス分野も広くゼロベースでIT施策を起草している。

この中で、質問項目1と4についての回答をサマライズしてみた。

質問1:IT利活用によるeビジネス振興の位置づけと具体策についての回答のサマリ

【自民党】
・ASP・SaaSなど中小企業にとって使いやすい新たなサービスの普及促進
・一人一人の多様な国民ニーズに直結した新情報サービス産業の創出
・地域情報を発信できるネットワーク化の推進などによる消費者ニーズと地域産品をマッチングさ・せる仕組みの構築

【民主党】
■インフラ政策
・高速インターネット網や次世代移動通信のエリア拡大を支援
・ネットリテラシー拡大

■企業の促進およびスタートアップベンチャーの支援
・中小企業にかかる法人税を11%に軽減
・一人オーナー会社の役員給与に対する損金不算入措置の廃止
・ベンチャー企業の株式購入時に投資額の一定割合を税額控除できる制度の導入
・月額10万円の手当つき職業訓練におけるIT向け職業訓練の促進

総論の自民党と各論の民主党といったところであろう。政治力無くしても振興できる回答である。一方民主党は政治力がでなければ出来ない回答である。特に中小企業、ベンチャー企業のスタートアップ支援(投資額の一定割合を税額控除)について具体的に言及している点は、起業家マインドを高めITベンチャー起業の育成が促進されるであろう。


質問4:通信・放送融合の時代に向けた行政介入の在り方についての回答のサマリ

【自民党】
・2010年の通常国会で行います。

【民主党】
・行政の過度な介入を阻むため、放送通信行政を総務省から切り離し、FCC(通信放送委員会)を設置することにより、事前規制から事後規制に転換を図ることとしています。

・国家権力を監視する役割を持つ放送局を国家権力が監督するという矛盾を解消するとともに、放送に対する国の恣意的な介入を排除します。

自民党の回答についてはコメントできる回答量ではがない。一方民主党の回答である放送通信行政を総務省から切り離し、FCC(通信放送委員会)の設置には大賛成である。この文章だけでは判断できないが米国のFCC(連邦通信委員会)をベースとした政策となると考えられる。ちなみにここ最近では米国FCCはiPhoneのGoogle Voice締め出し問題で調査を行っている。

ちなみに米国FCCは、大統領によって任命され、5年ごとにアメリカ合衆国上院によって承認される5人の委員によって管理されている。5人中3人までは同じ政党の所属であってもよい。